amphibianです。
先日実施された、Steam版レイジングループの英語版対応アップデートにおいて、比較的インパクトの大きいトラブルを発生させてしまいました。
今回はその内容と経緯を説明するとともに、ご不便ご迷惑をおかけしたことへのお詫びを申し上げるため記事をしたためました。
まず、状況について詳しく説明申し上げます。
発生したトラブルについて
Steam版レイジングループを2019/12/5以前のバージョンで遊んでいた場合、今回のバージョンに上書きすることで以下のような不具合が発生します。
- 以前作成したセーブスロット上のセーブデータを読み込むと、意図しないおかしな箇所から再生されたり、一時的に画面が崩れたりする
- 以前読んだ箇所の既読スキップが正常に動作しなくなる(読んだ箇所がスキップされなかったり、読んでいない箇所がスキップされたりする)
この問題はあくまでセーブデータおよび既読スキップ用の既読状態にのみ影響します。シナリオチャートやクリア状態・イベントCGの解放状態やエンディング解放状態には影響しません。
また、従来バージョンでの既読・未読に拘らず、新しいバージョンで読み進めた箇所については以後問題は発生しません。新しいバージョンで上書きセーブした箇所でも問題は発生しなくなります。
なお、問題の性質上、今回初公開となった英語版のプレイヤー様側では発生いたしません。
トラブルの原因について
大本の原因は、レイジングループのエンジンおよびスクリプト設計に柔軟性が欠けていたことにあります。
レイジングループは「シナリオデータの行数」を基準にセーブ・既読状態を管理するつくりになっていました。このため、アップデートをはさんでシナリオデータの行数が変わってしまうと問題が起きてしまうので、対処として「行数を決して変えない」方法をとってきました。
しかしながら、Steam版レイジングループのアップデートに際して意図せずシナリオ行数が変化してしまい、それに対する数度にわたるチェック行程をすり抜けて当該データが実装されてしまいました。
このためお客様側のセーブデータに記録された行数と実際のデータ上の行数が合致しなくなり、結果として上記のような問題が発生するに至りました。
対処方法について
この問題に対処するためには、シナリオデータの行数を再びもとに戻す必要があるのですが、この修正は実施を避けたいと思っております。
既に新しいバージョンでプレイを新規に開始された方・トラブルに遭われたものの既に再読を進められ正常な既読データを作られた方が複数おられる状況です。ここで再度シナリオデータ行数を変えてしまうと、こういったお客様で幅広く問題が発生してしまいます。
よって大変恐れ入りますが、トラブル発生時は以下のような対処法により、お客様側でのご対処をお願いしたく存じます。
- セーブスロット上のデータがおかしくなる場合、対応するルート・チャプターにシナリオチャートを使って移動し、シナリオチャートから開始する。おかしくなったセーブスロットは上書きする。
- 既読スキップの挙動がおかしい場合、既読スキップを使わずに読み進める(全てスキップを使用するなど)。再度読み進めた箇所は正常に既読となる。
- 暴露モードにて暴露セリフのみを未読にしたい場合、かなり手間ですが以下のような方法をとることができます。
- オプションから「データ初期化」を実行する ※全セーブデータやクリアフラグも消えます
- オプションから「強制解放」を実行し「7.神話」までを解放する
- シナリオチャート「0.導入」の「チュートリアル」からゲームを開始し、MENUから「NEXT」機能を使って選択肢へと飛ぶ→全ての選択肢を選び、全てのテキストを読み、全てのエンディングを見る(この過程で全テキストに既読フラグがつくほか、エンドリストやギャラリーへのCG登録もなされます。最終的にゲームもクリアされます)。
- オプションにて暴露モードをONにし、最初からプレイする→暴露セリフのみ未読となっているので、既読スキップを使って暴露セリフのみ読むことが可能。
- 暴露モードにて暴露セリフのみを未読にしたい場合、かなり手間ですが以下のような方法をとることができます。
お詫び
既述したとおり、このトラブルは一度リリース後に発生すると切り戻しが困難であるため修正ができず、結果的に多くのお客様にご不便とご迷惑をおかけする類のものです。そのため慎重な対策を講じていたにも拘らず、対策が実際には機能せず、トラブルを起こしてしまったのは、ひとえに開発陣を統括する私、amphibianの至らなさ、主導力のなさによるものです。
ご不便とご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありませんでした。この場を借りて深くお詫び申し上げます。
今後レイジングループのアップデートを実施する際は、このような問題を起こさぬよう、慎重に慎重を重ねて対応したいと存じます。
なお、このような問題を起こさないため、「最悪なる災厄人間に捧ぐ」以降の弊社エンジン対応作品においては、シナリオ行数ではなく毎セリフクリックごとに設定したラベルを基準に既読とセーブを管理する設計を採用しております。同作以降においては類件は発生しませんので、そこはご安心下さい。
今回の反省も糧として、今後の制作に生かして参りたいと存じます。
おそれながら、今後ともKEMCOのノベルADVをご支持いただけますよう、伏してお願い申し上げる次第です。
どうか、よろしくお願いいたします。
2019/12/17 amphibian こと 野吹修平
お疲れ様です。
やはりゲームもプログラムである以上、バグは避けられないものですね。
特にレイジングループはモバイル→コンソール機へのゲームエンジンの変更などケムコADV的に過渡期だった事は察せましたので、このアクシデントに負けずこれからもどんどん面白いゲームをリリースしてくれるのを楽しみにしています。