amphibianです
デスゲーム書きと言われるとウーンとうなりますが 「呪い」書きと言われると納得します
amphibianは「呪い」が大好きで
これまでの作品でも頻出しがちです
「魔術」が学問的である一方で 「呪術」は文化的なものでもあると感じます
あるいはそれぞれ 自然科学と 心理学の 類似分野といったところか
民俗学モチーフへの傾倒も おそらく「呪い」への憧憬があるためです
一方で 一部作品では「異能」を扱っています
異能も好きです
ポップなものからダーティなものまで色々です
ただしその観点は若干 一般的なものとズレていると思います。
「異能」はamphibianの中では「呪い」と別カテゴリなのですが おそらく起源は同じだと思います
今回の記事では これらの要素を深掘りしつつ amphibianのオカルト観を述べてみたいと思います
端緒
もともと「まじない」「儀式」的なものに興味はあったと思います
昔は無批判な子供だったので テレビで波動拳の出し方を紹介してたら信じたし なぜか実家にあった大量のボーダー系サイエンス雑誌に載ってた気功訓練法とかやってたりしました
紙や電波に載ってるようなこと 先人が真面目に実施してきたものには 何らかの効果があると信じたかったのでしょう
第1の転機
テレビ番組「特命リサーチ200X」で「丑の刻参り」を科学的に暴くというのがあったのです
あの番組は今思えば 科学的視点からはいろいろ玉石混淆だったと思いますが その回に関してはものすごく明快で 衝撃を受けたのです
その論旨は
呪いの儀式の本質は 呪いの儀式が行われたことをターゲットに知らしめることで 自分が憎悪の対象になっていること 超自然的攻撃を受けていることを意識させ 以降のあらゆる負の事象を呪いのせいと信じさせ ストレスと負の偽薬効果(マイナスプラシーボ効果)による被害を生じさせることである
というものでした
そこに一切の非科学的事象はないのに それは確かに効力を発する
心理的な超常攻撃というものはある意味で実在すると 確信をもって理解できた瞬間でした
この発想は のちに理系を選択していくamphibianのなかでも生き続けました
第2の転機
小説版「ラプラスの魔」です
amphibianにとってはクトゥルーものの第2の入り口でもありました(第1は「パタリロ!」における断片的記述)
「ラプラスの魔」において 霊能者ジョアンナが霊能について語る印象的なシーンがあります。
「(前略)私だってハイスクールぐらい出てるのよ。逆自乗の法則だって習ったわ。電気や磁気は力の中心から遠ざかるほど弱くなる……もし霊感が電波みたいなものなら、近いものほど強く働くはずよね? でも霊感ってそんなもんじゃない。何百マイルも離れた場所のことが手に取るように見えることもあれば、逆に──」彼女は悲し気に目を伏せた。「すぐ近くにあっても見えないこともある……」
これは科学者のビンセントが「幽霊を科学的に探知する装置」について語ったのに対する反論で 彼女は続けて霊能とは「力ではなく“視る”こと」と説明し、「私には力なんてなく、ただ何かが動くのを“視る”。それが物体を動かす」などと続けます
この発想にamphibianはうちのめされました
世にあるほとんどの超常能力 魔法の類は 「エネルギー消費して使う」「強力なものほど消費が大きい」といった 物理学のイメージに基づいています
真に「非科学的な力」というものを考えるとき 実はこのイメージに従う必要はないのだということを 教えられたのです
※小説版著者の山本弘先生はサイエンスへの造詣がふかく SFも多数執筆されていながらオカルトも得意分野とされています その手法には「科学とバッティングしない超常とは何か」という命題に対する鋭い答えが込められていると思います たとえば「MM9」には「なぜ怪獣が物理学に反した巨体や超能力を持つのか」という点についてのクレバーな回答と そこから外挿した遠宇宙の驚くべき実相が描かれています
その他の転機
「パタリロ!」をよく話に出して申し訳ないんですが その中に「意味論」のエピソードがありました これ実のところ今調べようと思ってもソースがよく分からず困ってるのですが 単に言葉を唱えればそれが力になる というような描写をされていたものの 本質的には「ものごとの定義として意味があるんじゃなくて 意味を起源とする現象としてものごとが生ずる」みたいな話なんだと思ってます
「魔法使いの♀弟子」というえっちなゲームがあるのですが この中の魔法論も印象的で 「意味の魔法」が定義されていたりしました
「意味が実は主体である」なるほど なるほど……
RLで軽く触れるとおり「姑獲鳥の夏」からも猛烈に影響を受けました
ここでの詳説はあえて避けますが 認識は現象をときに凌駕する というのが中核的な学びです
あと これタイトル分からないのですが たぶんコミックfantasyに載ってたマンガで 「時計が壊れたらその区画の時間が停止する」という要素がありまして 「時間が時計を動かすんじゃなくて、時計が時間を動かしてるのよ」というアイデアが衝撃的だったのを覚えています
こういったものにより amphibianは影響をうけ 「通常こうだからこう、と思っているものを逆にすると面白い」という発想をもつようになりました
醸成されたオカルト観
もし超常的な力や現象が存在するとしたら それは機械や式で計測できないものなのではないか
それは客観的に解析できるようなものではなく きわめて主観的なものではないか
エネルギー消費を伴わず 意外なものにより発動・維持されるものではないか
このオカルト観に基づく「呪い」は 「人を縛る情念や思想や道徳」であって 「トガビト」では中核的扱いだったほか 「D.M.L.C.-デスマッチラブコメ-」でもキャラ造形の基礎に深く関わり 「レイジングループ」ではその進化系たる「神」の概念に行きつきました
いまは「呪術」というものについて構想をはじめていますが 非科学的(再現を拒む)な呪いという存在を「術」とする矛盾をどう乗り越えるか 非常に難しいものがあります
一方で このオカルト観に基づく「超常」へのアプローチは いくつかの形で表れています
たとえば2枚の「かがみ」を合わせて神を見出すこと
たとえば自白装置を託宣装置と信じて争い合う行為
たとえば妄想と同意が生む力
共通しているのは因果の逆転・力の逆流を悪用した奇怪な技術だということ
もう 言いたいことは お分かりですね
「デスマッチラブコメ!」をよろしく
「D.M.L.C.-デスマッチラブコメ-」は 「呪い」と「超常」というamphibianのオカルト要素のクルードな原液を満載しています
「告白されると爆死する呪い」というバカバカしい入りからしてそうですが
本質的には「人間を日常から超常へと逸脱させる呪い」である心の歪みと
そこから発露する「逸脱者同士の間で認められる超常」である力が
紡ぎ出す狂的で病的な物語を扱っています
そんなDMLCの PS4 Switch PC向けフルリメイク作品である
「デスマッチラブコメ!」が 6/25に発売を控えています
グラフィック サウンドが大幅強化されており
さらに今の視点であんまりに感じられたギャグや低劣表現を調整したり
ラストシーンに大きめの加筆修正を行ったりしています
もうひとつ隠し玉がありますが これは来月くらいに出しましょう
下品なギャグでいっぱい笑ってほしいですが
ぜひその底流にひそむグロテスクな呪いと超常の魅力も
楽しんでいただけたら幸いです
「デスマッチラブコメ!」は 現在PS4パッケージ版が予約受付中です
たくさん予約がいただけると お店側も発注がしやすく 発注がたくさんなされれば 作品がお店に並ぶ機会がふえ さらに多くのお客さんに手に取っていただけるチャンスがふえます
ぜひご助力をください
既に店舗特典情報も出そろっているようなので 参考にしていただければ幸いです
amphibianでした
第一の転機が私がオカルト系を書く作家になったきっかけと同じでうれしくなったアマチュア作家です
他の部分は大変参考になります