【思考実験】クロが天ぷらを揚げました

「こんぶじゃないよ、おなすだよ」

 

amphibianです

与太話をします

 

「最悪なる災厄人間に捧ぐ」に登場する透明人間・クロ

「見えない」だけじゃなく「聞こえない」「触れない」という徹底した感知不可人間です

無生物以外には触れることもできれば傷つける(傷つけられる)こともあるという点で 幽霊ではなく透明人間であります

このへんがどうお話にからむかは お話を読んでいただくとして

今回は クロが天ぷらを作成したときのことを考えてみましょう

 

●野菜の天ぷら

 

クロは植物に接触できます

天ぷらの衣の主成分は水と小麦粉です

前もいったようにamphibianは片栗粉を半々で混ぜますが こっちはお安いジャガイモデンプンです

というわけで衣は問題ありません

さらには野菜も植物 ということで野菜の天ぷらは問題なく作れると考えられます

ニンジン ゴボウ レンコン(広島ではハスと呼ぶことも多い)

今の季節は秋ナスやサツマイモもよいですね

作中では煮つけでしたがカボチャももちろんいけます

油跳ねには注意しましょう クロは普通にやけどをします

 

●えび天 キス天 かしわ天

 

残念ながら クロは動物には触れられません

菜箸で食材に触れようとしても透過します

これは「菜箸」という無生物(というか植物の死骸)が クロに力学的な干渉をされる(仕事を与えられる)ことによって

一時的にクロのセカイ(設定時は別の名前もあった)に移動するため 菜箸を介したところでつかめないのです

菜箸はむなしく溶いた粉をすくいあげ そのまま天カスづくりに移行することでしょう

なおセカイ移行は電波的接触によっては発生しないことが確かめられているので

クロがマニュピレータつきクアッドコプターを駆使するなどして動物のてんぷらを揚げることは可能と思われますが

どうせ食べられないしかわいそうだし危険なのでぜったいマネしないでください

 

●かき揚げ・さつま揚げ

 

これは非常に難しい問題をはらみます

どちらも動物性食材と植物性食材の混合物だからです

しかし考察していくことは可能です

かき揚げは 溶いた粉のなかに ニンジンと玉ねぎの千切り そして小エビが入った状況とします

これをオタマですくいあげて油に投入する段取りとなりますが

クロがすくいあげた段階で かき揚げの小エビのみオタマを貫通してボウルに残ることとなります

それを油に投入すれば ベジーなかき揚げが完成しますね

そもそもクロが下準備までする場合は 最初から触れないわけです
小エビの入ったビニール袋を持ち上げた段階で 料理の失敗は運命づけられます
しかし実際に何が起きるかは非常に難しい問題となります

  • 「ビニール袋」という物質が「基本のセカイ」にある → クロは袋を持ち上げられますが密封された空のビニールとエビに分離されてしまうと考えられます
  • 「ビニール袋」という物質が「エビ(の肉)」に接触していることで「動物のセカイ」にある → クロはそもそも袋に触れられないと考えられます

どちらかは実際に試してみないとわかりませんが 作中で(※ネタバレにつき白文字表記→ 人間の死体が着ている服などを豹馬が視認できなかったことを考えると エビに接することで影響を受ける物質も 動物のセカイにある可能性が高いでしょうね

 

さつま揚げの場合はさらにむなしく

主成分が魚のすり身であり 野菜はあくまで混合物 しかも衣もつけないとあれば

持ち上げても持ち上げてもつまめるのは野菜くずばかりとなります

これを逆手にとってクロはすり身工場で混入異物を取り除くエキスパートとして働くことができると考えられますが

本題から離れてしまうのでやめておきましょう

 

●油は大丈夫なのか

 

ここで天ぷら油の種類に目を向けてみますと

植物油の場合は当然問題なく扱え また 食べられるでしょう

ではラードだったらどうか

動物には接触できないクロは 動物性油脂をすくいあげられず 結果天ぷらは脱脂されてヘルシーでかさかさした謎の食べ物になるのでしょうか

 

おそらく「ラードで揚がった衣も持ち上げられるし食べられる」と考えられます

 

「さささぐ」の世界法則は複雑なのですが 実はわりときっちりと設定されています

「動物に接触できない」は正確には「後生動物に接触できない」です

つまりバクテリアやキノコや植物は該当しない

ミドリムシジュースならクロは食えます

「死体」も「接触できない」問題に該当するためエビなど動物の肉には接触できません

ではなぜ「ラード」はだいじょうぶなのか?

これは「死体はどこまでが動物でどこまでが物質なのか」という問題になります

ふつうの感覚では絶命するまで そうでなければ永遠に動物 ということになりましょうが

「さささぐ」では「その物質が生物としてのアイデンティティを残している間」ということになります

それは遺伝学的アイデンティティのみならず 形態的アイデンティティをも含みます

一片の肉片がこなごなに分解され 腐敗し DNAもバラバラになり 原型をとどめなくなったら ようやく見えるのだと考えられるわけです

この状態だと「肉」としてはアイデンティティをとどめないわけですが 何らかの処理によって遺伝学的・形態的アイデンティティを失った動物由来製品をクロは視認・摂取できる可能性があります

つまりそれの一例がラードである可能性が高いと考えます

ラード内に遺伝学的アイデンティティを保った核酸分子が浮いている可能性は十分に考えられますが 混合物中の「生物部分」が見えなくなり「そうでない部分」は見えるため 結果的にラードは油脂としての機能をクロに対し果たすことになるはずです

 

●天ぷらおいしい

 

というわけでクロは植物性素材にかぎり天ぷらをつくることができますが

おそらくクロに任せると 出てくるのはすべて揚げ出し豆腐になる可能性が非常に高いと考えられますので

そもそも迷う必要がなかったかもしれません

急激に秋迫る今日このごろ みなさんもクロといっしょに天ぷらをたのしみましょう

 

 

 

 

と いって締めるまえに もう少し書いてみます

 

小難しいことを並べたのでだいぶ人が去った気配がしますが

粘り強く残った人はさらなる疑問をもったかもしれません

「血液」はどうなのか とか

そもそも「後生動物」がなぜ線引きの対象となったのか とか

豹馬の目と耳は実際にどうなっているのか とか

 

このへんにもいちおう答えは用意してありますが
今回は原則をかたるにとどめておこうと思います

  1. 我々の知る物理法則(光、音、それに基づく認知、力学)は必ずしも真実ではない
  2. 神(?)は基本的に理不尽
  3. 必ずしも全てのことが作中で描写されているわけではない

1は薄々お気づきでしょうが 我々はどうしても既知の物理法則をベースに設定を解釈しがちで amphibianも当初そこにだいぶ引っかかりました

2は 聖書とか読むと amphibianには強く感じられることです 神には神の計画があり人間のうかがい知れるところではないのです もちろん本作の神は実在の宗教の神ではありませんが 計り知れない計画という点にむしろ神秘性とありがたみを感じられればより楽しめるとおもいます

3について
既にお判りでしょうが すべてを作中で説明・描写してしまうと ↑の数倍に匹敵する設定ダンプが発生してしまいます
本作の魅力のコアはそこではなく
異様な世界でもがく 一人の少年と一人の少女 にあるということです

そのうえで 今回みたいな話が楽しいというもの好きな皆さんがおられたら

それはamphibianの仲間ということで いずれまたお話ししようとおもいます

 

なお きわめて複雑な設定なので よくよく突き詰めればどっかで間違いがみつかる可能性はあります

その場合 すべての責は設定監修であるamphibianに帰すものであると 念のためにつけくわえて 筆をおこうとおもいます

 

ごちそうさまでした(合掌)

 

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  1. YUー 2018.09.29 12:59am

    油跳ねを気にしながら天ぷらを揚げるクロを想像すると可愛いさに悶えてしまいますね。
    料理を持ってきたり食べさせたりする描写が多い中、料理を作るシーンのようなものはクロ達にはあまりなかったので、こうした部分は気になっていました。
    絵や解説で語られているとやはりわかりやすいですね。
    血液については作中での説明もあり、だいたいの勝手な解釈も含んで自分の頭に収まるよう理解していますがやはりこういった形で答えのような推測という手口で語られているとわかりやすいですし、作品のまだまだある可能性を考えさせられて良いですね。
    秋が近くなり食卓によく秋刀魚がならぶようになりましたが自分はそれを食べつつ残さずに食べなくては・・・・と最近思うのはクロのセリフのおかげでしょう。
    個人的にはある人物が名字を明かさなかった理由や5つのごちゃ混ぜになった豆アイスのかくたる美味しさなどささいな点の方が、気になりましたがいつかこれも明かされるのか・・・・いや、ささいじゃないのかな?
    でもどんな事でも疑問を持つことで作品をより愛し長く語ったり触れられるきっかけになるのは読者としては嬉しく思いました。
    これからも記事を楽しみにしています。
    さて秋の夜更け、さささぐや、レイジングループも楽しませていただきましたので近々wiiUひっぱり出してDMLCも購入し楽しませていただこうと思います。
    では天ぷら可愛いクロをご馳走さまでした。

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