みなさんこんにちはー amphibianです
前にちょろっとほのめかしたように 制作2年におよんだ「レイジングループ」の制作秘話やらなにやらを 忘れないうちにちょっとずつ明かしていきたいなと思っています
「レイジングループよもやま話」は そんなコーナーとして運用していこうと思いますが 例によって見切り発車なのでナンバリングつけたけどつづくかどうかは分からないよ!
あと いちおう本筋に対するネタバレは避ける方向で書きますので コメントいただける場合は この方針にお付き合いくださいね
ネタバレ会話はこちらへ→おやすみどころ
さてさて
本編で書いたとおり 「しし」とはイノシシやシカを指す言葉であり さらに「肉」をあらわす古語でもあります
「もののけ姫」でも、ヤックルやらオッコトヌシ様の眷属やら全部まとめてシシとよばれてましたよね(たしか)
牧畜文化や 犬猫を食す文化のない日本において イノシシやシカはいにしえの人々にとり もっとも身近な獣肉だったのだろうと思います
魚食のぶぶんに目をうばわれがちな日本の食文化ですが 高温多湿ゆえに腐敗(=けがれ?)とのたたかいを常に強いられる一面から 山間部では当然ながら魚食ではなく 禽獣が食されていたわけです
「やま」を舞台とし 「やま」という言葉に特別な意味を持たせている(詳しくは本編にまかせますが)レイジングループにおいて 「山の生活」の一端である 「日本の獣食」を描写することは 避けられないと思っていました
とはいえ 本筋と外れる部分ではありますし 舞台はあくまで現代なので 外れすぎてもよろしくない
そこで「獣食」という要素を凝縮した設定をつくりました それが「ししなれ」です
本編中にもあるとおり 「ししなれ」 は 「しし(肉)」の「なれずし(熟鮨)」という意味合いで作った名前です
初期の設定資料には「ももなれ」(もんな)として書かれてますね
これは「ももんじ屋」からの着想で うさんくさい語感は出ているのですが、「もんな」と転訛するのが正しいのか自信がなかったし「もも=肉じゃないしなあ」と考えていたところ 「あ、シシでいいじゃん」と思い至って わりと執筆直前に「ししなれ」に差し替えた記憶があります
で どうやら獣肉のなれずしじたいは太古の昔に実在したみたいなんですね
もしかしたら実際に「ししなれ」という呼び方すらされていたかもしれません
実在したのかー そうかー
レイジングループを書くにあたり とうぜん 食ってみたいとおもったわけです
なれずしは 米と動物性タンパクをいっしょに乳酸菌発酵させたもの
やろうとおもえば自宅でも作れるんじゃないかと
シカ肉はちょっと入手むずかしいけど イノシシ肉ならブタ肉でひとまず代用できるはず
いくら探しても獣肉のなれずしは現代に見つからないので こうなりゃやってみっかと思いはしました
が それを阻んだのが 獣肉の生食に関する懸念です
食肉について科学的知識をもつ人は口をそろえて 獣肉は生で食うもんじゃないと言います
魚とかと違って 危惧しなければならない病原体の種類や危険度がハンパないというわけです
たとえばブタ(イノシシ)については 生で食うと ざっと調べても以下のリスクがあるそうです
・原生生物・寄生虫類……有鉤条虫、旋毛虫、トキソプラズマなど
・バクテリア類……サルモネラ、カンピロバクター、リステリアなど
・ウィルス類……E型肝炎ウィルス、豚ヘルペスウィルスなど
ちなみに ものによっては食中毒とかいうレベルではなく 死んだり人生おわるレベルのダメージをおいかねなかったりするようです (まあ風邪だってなんだってそうだといえるかもしれませんが)
バクテリアについては 乳酸菌発酵でだいたいけちょんけちょんにできそうですし ある程度塩濃度を高くするとかしておけば 多細胞なやつらは死んでくれそうな気がするけど ウィルスって殺せるのかなあ?
この疑問をもって色々調べたんですが 発酵や塩せきでウィルスが不活化するかどうか 結局わかんなかったのですよ
ちなみに「生ハム」と呼ばれる プロシュートとかそのへんのくいものは 調理方法からして塩せきと冷燻しかしてないはずなので たぶんがっつり塩漬けすれば大丈夫なんだろうとはおもうんです
が 普通に「生ハム」と称して売られている品物が 実は謎の製法でウィルス対策しているから安全なのであって ご家庭でつくると死ぬという可能性も なきにしもあらず
結局塩漬けがウィルス対策になるのかどうかもわからず そもそも獣肉の生食文化が日本で伝統料理としてほとんど残ってない=やっぱアブナイんじゃない? という点も懸念としてあったため 散々迷ったあげく ししなれ自作はあきらめました
じゃあ食うのはあきらめたとして 作中のやつはどうしよう
これも相当悩んだのですが 最終的にししなれは火を通してくうものだという設定にしております
両生類のなかの創作における線引きとして 「ないものをでっちあげるのはアリ」ですが 「あるものをべつものに偽るのはナシ」です
とくにこれについては 「しってる? ブタ肉って発酵させれば非加熱でくえるんだぜ! レイジングループってゲームでやってた!」とかいうやんちゃぼうずが感染症で爆発四散とかするともうなにもかも終わってしまいます
両生類も小さいころは 「まさかテレビで言ってることにウソはないだろう」とおもってましたしね (だから波動拳は撃てるとおもってたもん)
ほんとうは 「火を使うことを禁じられた集落だから獣肉を生で食う文化が発達した」というかたちをまもりたかったのですが いたしかたないのです
とはいえ 書くからには それらしい描写を行うために 近しい体験はしておきたい
具体的には よく珍味(人によってはとんでもない悪食)とされる 発酵食品は 食っておきたいなと
それで 執筆にあたり こんなものをたべました
「あゆずし」
灯台下暗し 広島県の三次あたりの名産で アユに豆腐製造の副産物・安価で有名な「おから」を詰めた食品だそうで
物産展でみつけて ぶっちゃけ発酵食品かどうかすらよくわからないけど いっちょくってみっか! と トライした結果
しぬほど甘酸っぱかった
おからも身も ただひたすら甘酢の味しかせず ぼそぼそになった身と 輪をかけてぼそぼそのおからを 甘酢風味でいただくという あんまりにもなコレジャナイ感
もともと寿司とはすべてなれずしだったものが 食酢の発展によって今の江戸前寿司に変わっていったといわれ コレは最初から食酢で作るものだったのかもしれないし この買ったやつが現代人用に甘酸っぱく作られたものだったのかもしれない ちょっと調べ不足で何とも言えない けどすくなくともコイツは なんの酒の肴にすればいいのかわかりません あまずっぱいよう……!
「くさや」
言わずと知れた日本の誇るくっせえ干物
真空パックでとどき 灰色に濁った身が緊張感を煽ってくれました
写真にあるように あえて網焼きにしてみましたが……
たしかに糞尿やら腐敗臭やらをほうふつとさせるニオイがたちのぼったものの
よく屋内でやると地獄を見るだとか部屋から一週間ニオイがぬけないとか それほどのことはなかったですね
味は……
すげーしょっぱい
いや ちゃんと干物としての味わいみたいなのはあるんだけど ふつうのアジの干物と比較したとき ニオイとしょっぱさ以外にうまみが爆増してるとか そういう実感はあんまりなかった
とはいえ確かに芳香などの面で珍味にはちがいなく 3人がかりで平らげるのに結構時間がかかった
「ふなずし」
現存する日本のなれずしの最高峰 高級なくいもの
これも6きれで2000円だか3000円だかしたはず
これも特異な芳香と きわめて強いうまみとかが有名とされていて 「ししなれ」のイメージも これから取りたかった
すごく期待しつつ食した
のだが
すっぱいいいいいいいいいいいいい
うわああああああ すっぱいよおおおおおおおおおおおおおおおおぅ
もう涙がにじむほどただ酸っぱいだけだった
涙の半分は 出費に対する悔し涙だった
なんなんだろう 本当にひたすら身も米のぶぶんもすっぱく 「チーズのような味わい」がこの酸っぱさを指しているのだとすればそれはチーズ酪農家への宣戦布告に等しい暴挙だとおもう
絶品と解説されていたお茶漬けをやったら すっぱさの中にかすかに魚のうまみは出たのだけど こんなもん適当になめろうでも作って茶漬けにしたほうがよっぽどおいしいよ
というわけで 全体的にとても残念な結果におわったんだ
かろうじて くさやあたりの経験は 描写のこやしになったかもしれないと思うけど あゆずしとふなずしはマジで大外れだった でもこれはさすがにひどいのを踏んだだけだと信じたい……
そんなわけで ダラダラ書いたのですが 「ししなれ」に関するよもやま話は ここまでです
書いてておもったけど 実際に発酵させた獣肉を作中同様に加熱して食うならたぶん大丈夫じゃね? という気がしてきたので たぶん後日こっそり試すとおもいます
あ 発酵させればウィルス大丈夫というソースをお持ちのかたがおられたら 連絡ください
あと おいしいあゆずしとふなずしを贈ってくれるかたも募集してます
(というと本気で贈ってくれる奇特なかたがおられないとも限らないので おきもちだけいただきつつ お店や通販の情報があればぜひ というかたちにしたい)
こんにちは
一年くらい経ってますが、母が出張先で出くわしたという話をしてきたので検索してたどり着きました
どうも熊本の玉名ラーメンが、なかなか謎かつ強烈なお味だったそうです。母もレイジングループを読了しておりまして、ラーメンの感想を聞いてから「それししなれじゃない?笑」と言ってみたら大納得してました(笑)
母が行ったのは天琴というお店だそうです
レイジングループ楽しくプレイさせていただきました。
さて、ししなれについてなのですが、私の母の実家がある某九州の山村には未だ猪肉の漬物があるそうです。私も詳細については分かりかねますが(笑)
読まれる方いらっしゃるのかな(笑)
ご存じであれば、申し訳ないです。このような書き込みも初めてですので、読みにくい等あればすみません。
一応看護師をさせていただいております、必修科目で微生物学というものがありまして、微生物学系の本をお読みになれば少しは疑問を解消する助けになるかと思います。ただし、こちらでは細菌やウイルス、原虫がヒトに対してどのような病原性があるか、どのような場所に
生息しているかを学ぶものであり、「豚肉にどのような細菌やウイルスがいるか」は専門外ですので、存じません。しかし、上に上げられておられました、細菌、ウイルスがどのような耐性があるかは知る限りでご説明できます。読むのがかったるい場合は、最後の段落だけお読みになると宜しいかと思います。
まず細菌類のサルモネラ、カンピロバクターですが、
サルモネラは豚というよりかは、鳥の方が被害の方が多いです。病原性としては、チフス様疾患と食中毒ですが、よくあるのは食中毒です。アメリカでサルモネラ菌入りのピーナッツバターによる食中毒による死亡事例もありました様に、吐けば何とかなるという甘いものではないことは確かです。ちなみに、前述しました鳥の方がと申しましたように、卵にもふくまれます。なので、卵かけごはんも正直安全を考えれば食べないほうが良いと言えます。あまり、衛生的ではない焼き鳥屋さんも危ないです。
カンピロバクターは、夏はカンピロ、冬はノロウイルスというように、夏の食中毒と言えばコイツというぐらい被害者が多いです。私からすれば夏の風物詩といえばコイツです。余談ですが、細菌による食中毒に特効薬はありますが、ウイルスと比較が付きにくい点から副作用もあるのであまり処方されることがなく、下痢により細菌を出し切るまで苦しい状況が続きます。
リステリアは、上の二つよりは知名度が低い細菌です。動物の糞便や乳から検出され、低温(5℃)でも増殖し、食塩耐性があります。感染動物の肉や乳・チーズなどの乳製品、家畜の糞便で汚染された野菜などを食べると食中毒の原因になります。
ちょっと長くてうざったい文章になってきたので、簡潔にすると、上のやつはもっぱら調理不十分による肉などを食べて発症します。そして主に食中毒です。つまりご存じの通り、熱を与えればおk。発酵ですが、酸素のない状態で糖質を分解ガス噴射ですね。つまり空気がないと生きられない細菌ちゃんはご臨終です。残念ながら、上ふたつの細菌ちゃんは酸素があってもなくても元気なので殺せません。発酵中に、いっぱい増えます。おそろしや
ここまでのご説明で、食塩耐性のあるもの、発酵では殺せないというものがいることがわかった気がするとおもいます!
ウイルスですが、E型肝炎ウイルスだけ書きますと
ブタ、イノシシ、シカの生肉や、内臓、とくに生肝(レバーさし、ブタレバー)を食べちゃうとまずいです。便での感染もあるので、トイレにいったら必ず手を洗ってください!おしっこだけだからあんま汚くないからいいや!はダメです、絶対!そして、ここでもやっぱり対処法としては加熱です。
という事から、食塩、発酵は殺菌、消毒の観点から言うと、期待できないということになります。人間と火、日本人と火は、火に助けられ、火に殺されることもありますが、最後は清めの炎という事からしても、切っても切れない関係なのですね。蛇足ですが、火葬も伝染病を防ぐという効果もあるとか。もしご興味があれば、微生物学の本を読んでみると細菌、ウイルスに対しての知識が増えるので面白いとおもいます。
お粗末様でした。
「ウィルス 発酵消毒」でググった初めのページ(鶏死体がどうのってページ)を見る限り発酵させればウィルス大丈夫、って事はなさそう、っぽいです……よ?
そのページで対ウィルスについて言及してるのが熱についてだけですし、
他のワードでググってみても、ウィルスの不活化と発酵についてのそれ以上の関連性を見つけられず…
私見ですが、結局、発酵消毒は発酵熱でウィルスに熱変性起こさせてるだけで、きちんと熱がこもるような配置で発酵させないとそもそもウィルス不活化の基準となる摂氏56度までは至らず、
しかもその摂氏56度ってのもただの経験則で、ノロウィルスやE型肝炎のように摂氏56度でもなかなか不活化しないウィルスもいる。
(ノロで30分E型肝炎で60分。もし60分間56度の熱出し続けたら、それって煮えてないかな……?)
と、そうなれば、少なくとも発酵のみではウィルス対策には全く万全には程遠い、って感じなのかな、と、素人の感想です。
なんかもう、こー、ウィルス対策って、熱変性起こさせて壊すか、消毒液を使って壊すかの2択しかないんじゃないか?と思い始めた今日この頃。
塩せきの消毒性についても、ウィルスの生存に必要な水分を奪う、とか、ウィルスもとから生存してませんけどー!的な記述しか見つけられず……
結局amphibianさんが調べてそうなところの後追いしか出来ず、はっきりと書いてあるソースも出せず、ほとんど私見で申し訳ないのですが、せっかく調べたからとりあえず書いとけ、の精神で書いてみました。
中国の豚生食10年で寄生虫に全身やられた記事がありましたが
止めた方が良くないですか?豚生や川魚の生ヤバいのは有名ですが、その記事だと年一回の生食で画像診断が寄生虫で真っ白になるレベル、寄生虫の死体が石灰化、眼球や大脳まで浸食されたそうで…
素人が迂闊に手出しすべきではないのでは?
それでなくとも例えば縄文時代の遺体を調べると結構な確率でフグ中毒らしいという位のトライ&エラーで食用にしたりしてきた歴史を鑑みると、プロでもないのに態態現代で人柱にならなくても…
うーんと だから「加熱して食べる」って言ってるんですが……
すでに知ってる危険な橋を渡ることはしませんので ご心配なく
記事の情報見落とし&余計なお世話でした、ご多忙の中態態御手間をとらせ申し訳ありませんでした
アイヌの知恵、で寄生虫対策してる鮭のルイベみたいに何かしらのブツないかな
記事の情報見落とし&余計ぬ世話でした、ご多忙の中態態御手間をとらせ申し訳ありませんでした
アイヌの知恵で寄生虫対策してる鮭のルイベみたいなのなはと探してもありませんでした
菌対策なく、ウィルス対策となるとそもそも個人が対応でき兼ねるようです
フグの卵巣漬けはあれどうして無毒化してるのかわからないんですよね、糠漬け二年、原理は不明の為伝統食として某市とそこに隣接する地区だけで許可されてるとか
糠漬け期間が短く毒が残ってニュースになる事も、よくありますし
それ以前に食べたらヤバい、実入りの多くない部位を食用にしようとしたのかが謎です
某文豪みたいに毒の痺れに病み付きになって終には致死量超えて…でもない限り、食べる必然性も作る必然性も見いだせませぬ
発酵は細菌の繁殖にご注意くださいませ。
http://foodpoisoning.e840.net/h120000.html
変なもの増やすと食中毒です。
黄色ブドウ球菌とか、人間の手に普通にいますから…。
魚発酵物として「へしこ(魚のぬか漬け)」をおすすめします。
よくあるのはサバのへしこで、昔の塩辛い塩鮭のような味。脂がのってると茶漬けにした出汁がうまい。糠は塩辛いのでできるだけ取ってから焼いてね。
珍味としては「ふぐの卵巣のへしこ」。
テトロドトキシン満載のふぐ卵巣が食べられるという、謎の代物です。
いまだになぜ無毒化するのかわかっていない、先人の執念を感じる一品。
たまに見るけどまだ食べたことはない。
石川県繋がりで、かぶら寿司(麹発酵したカブ&サバ)は食べました。
ふなずしほど酸っぱくなくて、しめ鯖程度の酸味がおいしかったです。
なれは確かに寿司の原型ですし酢飯使う手抜きは江戸末期か明治初期でしたか?
獣肉食そのものは山間では暗黙の了解で禁令出ても食べていらっしゃったような
ふなずしは元からして保存食ですので味は…
その辺のは寿司の発酵が東南アジア発祥ですからそちらの方が面白いかもしれません
発祥の伝承は違いますが納豆とインドネシアのテンペみたいな近似のもありますしみことさんが発酵関連なら活躍するチャンス
どれだったかは忘れましたが、発酵学者の小泉武夫氏の著書に中国のほうで豚肉のなれ寿司に出合ったという記述があったかと思います。