キャッチーで新しいゲームってなんでしょうね?


こんにちは、nabeです。
amphibian氏がたまに熱い記事を書きなぐるので、ちょっと感化されて真面目なコラムを書いてみることにしました。

さて、ゲームに限った事じゃないですけど、世に生み出される商品は訴求力として
「キャッチーさ」とか「新しさ」をしょっちゅー求められるわけです。

ええ、しょっちゅーです。
TVで取り上げられるにも、Twitterでバズるにも、ダウンロードを促進するにも、求められるのは「キャッチーさ」と「新しさ」ばかりではないですか? そうでもない? まあいいじゃないですか、テーマがぶれますんで。

あと「キャッチーで新しければ何でも売れるのか? 許されるのか?」系の議論もありますがそれも割愛して、
ここでは「『キャッチー』で『新しい』『ゲーム』ってどういう物?」という思索をぼんやり語りたいと思います。

注意:長い上に大した結論はありません!! ぼんやりお付き合いください。

なお冒頭の面白写真はぱくたそさんの素材です。おかげさまでこの記事のキャッチーさが上がります。感謝。

まず目標の定義から

そもそも、「キャッチー」も「新しい」も意味が広すぎですね。
考えやすくするためにまずは意味の分解!
ごちゃい方程式もまずは因数分解から。
ではどうやって分解する? はい、とりあえず辞書を引きます。

■キャッチー:
人にうけそうなさま。人の注意を引きやすいさま。
(from weblio 三省堂 大辞林 http://www.weblio.jp/content/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%BC

うーん、まだ抽象的なので、もうちょっと具体的にしたいところです。

『人にうけそう』な物とは?
さらっと言いやがって……その言葉にどれだけ惑わされることか……。
それでもしいて言えば、多数派が好きそうな物、でしょうか。
好かれそうと大多数が認識してる物、と言い換えても良いでしょうかね。

『注意をひきやすい』物とは?
→これは立て看板や注意書きで考えればイメージしやすいですね。
赤文字にしたりアンダーラインを引いたり大きい文字にしたり。
しかしそれが周囲に乱発されていては埋没するのも想像に容易いです。
要は、周囲との比較で特異な要素を持つ物、ということでしょうかね。

 

■新しい:
①今までにはなかったさまだ。初めてだ。
②従来のものとは違っている。旧来のやり方を改めている。
③できたばかりだ。できてからあまり日時が過ぎていない。
④なまものが取れたばかりで,生き生きとしている。新鮮だ。
(from weblio 三省堂 大辞林 http://www.weblio.jp/content/%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84

④は明らかにゲームに当てはまらないので今回は除外して……。

①の『初めて』の物
②の『旧来のやり方を改めている』物
③の『できたばかり』の物

この3つの意味に注力する事にします。
ただ、『初めて』と『できたばかり』については、もうちょっと限定しておきましょう。

『初めて』は、『受け取る人にとって初めて』と定義しなおします。
(詳細は省きますがコレが無いと収拾がつかなくなるという経験則により)

『できたばかり』は、作品その物ができたばかりという意味だと趣旨にそぐわないので、
『概念が出来たばかり』という、作品内容の概念に対する意味に限定します。

さて、けっこー細分化しましたので、ようやく目標を定義します。
キャッチーで新しい物とは……?

A.多数派が好きそうな物
B.周囲との比較で特異な要素を持つ物
C.受け取る人にとって初めての物
D.旧来のやり方を改めている物
E.概念ができたばかりの物

このいずれか、または複数を満たす物。

おおう、ここまでで結構長くなってしまった。丁寧にやり過ぎたかな。

『キャッチー』で『新しい』『ゲーム』

では、上記の細分化した定義を使って書いてみましょう。

A.多数派が好きそうなゲーム
B.周囲との比較で特異な要素を持つゲーム
C.受け取る人にとって初めてのゲーム
D.旧来のやり方を改めているゲーム
E.概念ができたばかりのゲーム

……では、それがどういうゲームになるのか、少し考えてみます。

Aの代表はRPGとかですかね。「王道RPG!」なんて売り込み方はまさにAでしょう。

Eは少し前のタワーディフェンスとかクリッカーとか。放置ゲーとかソーシャルゲーム自体とかもそうでしたね。そしてEはB、Cも内包しますが時限性というのがポイントですね。

Dは、スマホで見られるパズルRPGなどでしょうか。古くからあったジャンルの融合。

……どうでしょう。なんかざっくりしてますが、イメージできなくは無い、といった所でしょうか。

そう、この段階で語ると、「ジャンル」の話になりがちですね。
なぜなら、「ゲームって言っても色々あるじゃん?」というツッコミ所を消化していないからです。

『キャッチー』で『新しい』『ジャンル』

というのを考えるのは、それはそれで有用ですが、いきなりそんなこと言っても厳しいです。
更に「ゲーム」を分解することにします。
(ジャンルも、ぼんやり考えるのは楽しいですけども)

では『ゲーム』ってどういう物?

……またこれだけで超議論が出来そうなお題をつけましたが、
ここではゲームを『ゲームの構成要素』に分解するに留めます。

……いえ、「ゲームの構成要素とは何か」というお題でも超議論できそうですけども。
本筋じゃないので今回はnabeが適当に定義します。

・システム(ゲーム目標)
・システム(短期目標)
・システム(寄り道系)
・システム(UI設計)
・画像(キャラ)
・画像(UI)
・画像(エフェクト)
・音(BGM)
・音(SE)
・音(ボイス)
・ストーリー(プロット)
・ストーリー(キャラ造形)

話の都合上、やや細かめに書き出しました。

再挑戦! 『キャッチー』で『新しい』『ゲーム(の要素)』

さーようやく本題です。
でもここまでくれば、あとはお好みで要素を掛け合わせるだけです。

では、早速いくつか例を考えてみます。

『多数派が好きそうな』×『システム(ゲーム目標)』
→RPGにおける強くなって魔王を倒す! とか。
ADVにおける異性と仲良くなり結ばれる! でもいいですね。

『周囲との比較で特異な要素を持つ』×『システム(ゲーム目標)』
→RPGではよく魔王を倒すから、このRPGでは魔王と協力する! とか、
ADVで異性と結ばれるんじゃなく、異性と結ばれると爆発するから逃げる! とかですね(笑)

『受け取る人にとって初めての』×『システム(ゲーム目標)』
→魔王を倒すRPGのシリーズ作のゲーム目標が、自国を発展させることに変わるとか。
ねこを眺めるとか。

『旧来のやり方を改めている』×『システム(ゲーム目標)』
→魔王を倒すんだけど、魔王は町の隣に居ていつ挑んでもいい、とか。
異性と結ばれたいのだけど、その対象は12人の妹である、とか。

『概念ができたばかりの』×『システム(ゲーム目標)』
→……これはジャンル自体の発明に近いですかね。
例えば落ちてくるブロックを上手く積んで消すのがゲーム目標とか、すごい概念の発明ですね。

いやー、かなり具体的になったと思いませんか。

これで、『あのゲームってキャッチーだったなー』と思ったなら、
『どの要素が』『どうして』キャッチーだったのかなーと分解できるようになりますね。

我らがレイジングループなら、

『多数派が好きそうな』×『ストーリー(プロット)』
→「人狼ゲーム」という既に多数のファンがいる物を元にしたプロット!

『受け取る人にとって初めての』×『音(ボイス)』
→ケムコADVで初のボイス付きですから!

『旧来のやり方を改めている』×『システム(UI設計)』
→レイジングループに最適化したチャートシステム!(キーガイドとか暴露モード対応とか)

……という所でしょうか。自分たちに対して言うとしょうもない感じがしますが。
実際、我々としてはここがキャッチーかなーと思ってるので、HPなどで大きく取り上げているのは上記の内容だったりするわけです。

まとめ

どうだったでしょうか。長かったですね。

大雑把に『キャッチー』で『新しい』『ゲーム』って何? と言っても、結局のところ、1つ1つ細かく分割していって、それぞれの要素について『キャッチー』で『新しい』を考えていくしかないと思うのです。

更に、『キャッチー』で『新しい』といっても強弱があります。
『ケムコADVで初めてのボイス付き』と、
『ADVというジャンル全体で初めてのボイス付き』では、雲泥の差がありますね、当然ながら。
lv10の勇者とlv120の勇者って感じです。

ですので、結局のところ、『キャッチー』で『新しい』は『総合力』だよねーと思う訳です。
つまり……

Σ(個々のキャッチー要素×キャッチーレベル) = そのゲームの総合キャッチー力

 

……ドヤァ。 と式なんて出してみたり。

1つのキャッチー要素が物凄いキャッチーだったらそれだけで超キャッチーだし(猫を眺めるだけとか)、
絵柄がキャッチーでUI画像もキャッチーで音楽も拘りがあってシナリオも尖ってて……という積み上げ総合力ひっくるめて超キャッチー!な例もあると思います。

といったところで、ゲーム制作側の人間として思う事を述べます。
作った企画に対して『この企画をもっとキャッチーにして!!』って言われたら、
『〇〇をくっつければいいんだろ!』みたいにやけくそ気味にならず、
『どの要素ならキャッチーに出来るかなー』という事を考えたいと思うのです。

レベルの低いキャッチーさでも大量に重ねたらなんか強くなるかもしれないし、
思いもよらなかった要素から一点突破なキャッチーさが転がり出てくるかもしれない。
今まで自分が重視してなかった要素を見直すだけで印象は変わるかも?

ここに描いた要素の掛け合わせは、いろんなパターンが考えられますね?
それらを色々とこねくり回してみる事で、新しい発見があるんじゃないかなーと期待します。

そんなような心構えが、今回の結論です。

オマケ

……長々と書きましたが、言ってみれば当たり前の事しか言ってないです。
それこそ、この記事にキャッチーな内容は無いのでは。うまい事言った。

そして偉そうに書いたのでまた1つ言い訳すると

『後付けならなんとでもいえる』

世に出たキャッチーなゲームをいくら分解しても、自分がそれを作れるわけじゃないのです。
先人は、それを生み出したことがもう偉大なのです。
そんな偉人に敬意をこめて、キャッチーな物を作れるよう頑張りたいものです。

 

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  1. 常世名 2017.02.23 2:18pm

    ゲーム業界は売れ幅で即死しかねないから内部留保厚くしとかないといけないので大変ですよね
    キャッチーな事でいう

  2. Double 2017.02.19 9:50am

    それを全てクリアしたとしても、ゲーム化にあたっては『容量』という強敵を倒すのが大変ですよね…

    お疲れ様です!
    個人的にはDMLCの続編を超期待しております!

  3. とくめい 2017.02.18 2:13pm

    なるほどー。作る側の視点をチラッと覗かせてもらえるのって楽しいです。
    総合力ひっくるめて超キャッチー! なのは(ゲーム全体で)独自の世界観を築いている、ってことにもなりそうですね。

    つまり次作ではUIのどこかに常にねこがゴロゴロしている……?
    ねこがモニタの前に座ってゲーム見えねぇ! をゲーム自体に組み込んだシステム……?
    (デフォルメねこだと某あつめるゲームと被るのでリアルねこで)

  4. 匿名 2017.02.17 4:21pm

    つまり……猫を眺めるだけの超キャッチーゲームを作る前振りですね(ΦωΦ)にゃんにゃん!

  5. HK 2017.02.17 1:57pm

    ゲーム開発のような仕事をしている方々は大変だと思います。
    万人受けを重視すると、どこかで見たようなコピペ内容になりがちですし、
    まったく新しい発想で作ろうとすると、ビジネスである以上、「これ売れるの?」という不安がつきまといますし。
    加えて、決められた予算・期間の範囲で開発しなければならないプレッシャーもあるわけで。

    開発チームの皆様も日々、苦労されているかと思いますが、それをわかった上でも、やはり期待せざるを得ません。
    RLに続く「新作ADV」を!よろしくお願いします!

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