バレンタインに こわい話

何も考えないで朝っぱらからやらかしてしまったのですが かつてはバレンタインに謎の手の込んだ料理とかをやっていましたね
そういう毒気はわりと失ってしまったし ポータルの特殊な企画の80%くらいはnabeさんの「なんかやりましょうよ」から生まれていたことがはっきりわかります (amphibianはとにかくまず「えー」と言う係だった)

なので料理なんかやめてホラーの話をしましょう
13日の金曜日をやりそこねて久しいので14日の金曜日でもいいだろということで

前にマウンテンゴリラ理論の失敗から 「境界のこちら側」に制御不能因子を置くことがカギではないかと考えたのですが

これに加えていま考えているのは ホラーにおける能力の限定性とか 不可逆性とか 世界観との兼ね合いの話です
切り出しといてなんですが あんまりまとまってないので話半分に聞いてください

企画設計において 「ホラーである」ことが明白な作品であれば それに向いた世界観とか設定を供給してやるべきで 逆にいえば それに失敗すると非常にホラーとして成立しにくくなるはずです
勿論 ジャンル的に「そうそうこれこれ」とホラーファンに思って頂けるようなたてつけ 雰囲気 食材をそろえることも大事です 閉鎖された山村とか 淫祀邪教とか 謎の病原体とか
そのうえで 主人公側は 「打てる手が限定されているし失敗したら取り返しがつかない」ことが示される必要があるように思います

「この存在は手に負えない、制御から外れている」ことを示すためには 「この主人公にはこれができてこれができない、そしてこの相手は主人公にはまったく手におえない」ことを示し そこを通して読み手のすぐそばに恐怖対象の存在感をおとどけすることになります
このとき「制御から外れている」ことを表すために「敵が果てしなく強力で理不尽」をやってしまうと これは強キャラになるかと思います
個人的にはホラーにおける強キャラの好例は「呪怨」だと思っています(伽耶子さんというより「呪怨」の概念 映像冒頭で表示されるやつ)
あれは問答無用に強力で「めっちゃ強くすべてに勝つので勝った」というある意味A=Aが描かれるわけです じっさい伽耶子さんはそばに立たれるとめっちゃオゾいし怖いのですが その恐怖は手負いのマウンテンゴリラとか世界を一発で滅ぼす水爆とかが同じ部屋にいる感覚に近いような気もするのです 俺も死ぬがみんな死ぬし まあ……うん 的な
いっぽうで「リング」については 敵側の能力は強力だけど非常に限定的で しかしその限定さがものすごく人間心理に突き刺さるので 結果的に勝つのがすごくよくわかり 結果的に圧倒的制御不能物体として貞子さんがそばに立ってくるのです

味方が強すぎるのはもちろんいけないし 敵には圧倒的理不尽さが必要なのですが 同時にそれは制限されている必要もある
このことを踏まえて敢えていうならば ホラーというものは現実なみに制限の大きい「卑近な」スケールで世界観レンズをしぼって書いたほうが 書きやすいし響きやすいのではないか と思うのです

不可逆性についてもそれは言えます
思うにホラーは 命や尊厳やアイデンティティや信仰や人類種への希望など 「何か大事なものを永遠に失わせてくる挑戦 」であることが大事ではないでしょうか
事故や戦争や犯罪やモンスターは ホラーとオーバーラップすることもありますが こいつらは物理的に命や財産や純潔を奪ってくるわけで もちろん非常に怖いのですが そのある意味「だれでも奪えるもの」にもう一味加えた 新味の恐怖 ともいうべきものにアプローチするのが きっとよいホラー作品でしょう
そうなると 失わせるものは 「取り戻せるもの」であってはならないのです
「だれでも奪える」ものなら「だれかは耐えられる・取り返せるかも」と思えるかもしれません だから奪う者自身も奪おうとするモノも特別でないといけない
『復活の呪文が存在するファンタジー作品においてはあらゆる真剣な物語を書きえない』的な暴論を耳にしたことがあり これは暴論だと思っていますが 少なくとも割と簡単に死を克服できる世界においてただの暴力はホラーになりえないでしょう

これらを踏まえると 壮大なファンタジーや異能力モノで彼我ともに強力なチカラを持ち 自由度が高く不可逆性もあまりないような場合 そこにホラーの対立軸を置くのはかなり難易度高いのではないかと思うわけです
手はあります
主人公側が有能すぎるなら その手をきちんと奪うこと 敵がいつも強力なら 卑近な敵が出てくる状況を整えること
不可逆性は失わせること あるいはその世界で不可逆なものを見つけて狙撃すること
しかし このタイトなフォーマットにおいて人の想像を超えてなにかをやるのは なかなか難しい ヒラメキが必要です

何が言いたいかというと
RD(仮)では 新規のファンタジー要素をある程度しっかり出しますが その制限と 不可逆ラインの維持にはきをつけます という自戒です

がんばります
それでは

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